正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

泡沫の貴方

背中のやわいソファ 揺れはほぼ規則的に 揺れは私を機械的

 

白けた窓の雨は枯れ

白いはなの群生が

白い列車をとり囲む

白く霞んだ向こう

 

ここがどこかも いまがいつかも わからない

 

もう何年も鳴らない電話

きっともう鳴らない電話

だけど貴方は残酷だから

「またね」と言って電話を切った

 

鳴らせば出る電話

「会いたい」と言えば

呼応する電話

あなたは残酷だから

甘い首輪付けたまま

 

意味はありますか

私に意味はありますか

貴方を信じて待つことに

貴方を待って揺られることに

 

意味はありますか

私に意味はありますか

貴方の気に留まらない私に

貴方の人生に居ない私に

 

貴方の中で私に意味はありますか

 

はなを割く白い列車

「名も無き駅」に停車

改札を出て 白いはなに溶けて

 

好きだった気持ちも

楽しかった思い出も

私の中の貴方も

泡沫みたいに

壊れてきえた