正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

琴線の魚

ベッドの上で命がすくむ 黒の妖精を踊らせては散らせ 無いも同然のちいさな吐息を すこしでも生きていないように ころすかなしいくせちいさな指はまるで口のように 心をわからないみたいに彷徨う 目に見えないものを恐れ 心臓の音にさえ怯え 心を許した娯楽…

私のセピア

愚かなまでに素直だった 残酷でしかない本能のままの子であった 白百合が穏やかな春の風に揺られている 途方もなくまっさらな先であろう 驚くほど雄弁な白であろう だが歪な運命は既に浮かび上がっていたひとつ、 庇いたくなるだろう それでいて全てを与えて…

宝箱パニック

毎日毎日、細かいドミノを並べ 毎日毎日、指先を震わせ並べ 毎日毎日、冷汗を零し並べ 虚を貼りつけて、完璧じゃなくても 無は自然で、人は朽ちるきみは、その宝石を誰にみせますか むかしは誰にでもみせていましたけれど 何故やめてしまいましたかストロベ…

幽香 かすか

荒々しい砂の夜 無念を抱える夏の夜烟るフェルトの狭い空 燻る黄金こがねの丸い鏡きょう 橙オレンジのねこがひとりでに 白く霞む夜よにひかって居る 鳴かないねこ、君は… もし、詩人ではないですか 君の世界で、君は 詩を書いてやしませんかどこからともなく…

燃やした、 空を燃やした 灰が街一面に敷き詰められ 苔むした池の端を覗く 双眸は仄暗く立込め とぐろを巻いた それに身を震わす雷霆はいつも急だった 押寄せる雨雲はピクニックを台無しにする 立直れない鳥を世界は許さない その音は三度みたび、私に問う開…