正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

拝啓 生きようとするわたしへ

ない、確かにあったのに 確かにこの腕の中に この腕の中に、捕まえていたのに ひとつ、あの人が憎かった 薄い膜を針で刺した あの男が憎かったひとつ、あの人が憎かった 飛び散った赤い汁の その中にひとつあった核を踏みにじった あの男が憎かった 私は、し…

私開花宣言

この青暗いゼリーの中を サメやクジラ、そのほかの 小さな魚たちが ぽこぽこと泡をたてて進んでいく チューリップ柄のカーテンは 昔なじみの夕焼け色にとけて 自分がまっくろく翳る夜の匂いは、孤独の匂い 記憶が寄り添うやさしい孤独 毎晩ちょっぴりの勇気…

へ た

ためこむ質というよりか、ただ聞いてもらいたいと思える人を 思い浮かべられないだけでためこむ質というよりか、ただあとからじっくり見てみなきゃ 感情の名前がわからないだけでためこむ質というよりか、ただあとから見つけた感情を どんな顔でほざけばいい…

目が覚めたら、ケーキが食べたいな

熱い湯に浸かるのと 熱い湯を浴びるのとでは 違って 浴びるのは 雨の日に冷えた体を 雪の日に冷えた体を シンからゾクゾクと 温めなおすのを感じる 寒い日に用を足すのに似た ゾクゾクを感じる それとともに 私を抱く湯に 安心している波に浮遊する点は ユラ…

牛乳からチーズを作るためのホエーみたいなところ

美容師になりたかった 髪を結うのがすきだったから ファッションデザイナーになりたかった 服をかくのがすきだったから 画家になりたかった 絵を描くのがすきだったから絵に関係する職に就きたかった 絵がすきだったから こころに余裕のある人になりたかった…

Am.4:13

いつしか、あまい やさしい柔軟剤の香りは 私のなかで妹を指すようになった まるで、くじらの中みたいな まあるい夜空を見上げて ぷか、ぷか、と それを食ったり捨てたりしながら 横断歩道の黒い部分に 出た手足が 冷たいそれに浸かっている 料理をしてみる…