正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

雨の降ったあとの草原みたいな

まるで道化みたいな

笑い声が存在証明だった こどもの話

 

ランドセルしょって 踏み出した世界

無慈悲で 残虐な世界

 

はじめての悪意はその後

後を絶たず

 

どうやら少し醜いこども

どうやら少し劣ったこども

 

多数決に乗れないこどもは

ゴミ箱みたいに 悪意のはきだめ みたいに

 

初めて触れた悪意

純粋という名のこどもは 何をしても許されるのか

純粋という名のこどもに 傷つけられたのもまた

純粋なこどもだった

 

人間の悪意に触れたこども

こどもは自分の証明を

こどもは自分のやりがいを

他人に託すわけにいかなくなった

或る日みたいに道化でいることも

或る日みたいに裸のこころでいることも

こどもはもうできなくなった

 

こどものこころは埋もれていく

色んな無意味に埋もれていく

 

いつしか自分でみえなくなって

いつしか無いのが普通になって

 

そうしてこどもは 自分のこころも

存在証明するものも 失くしてしまった

 

 

何年も空っぽのまま過ぎて

いい子でいれば万事解決

人嫌いの元道化

 

空っぽだからこそ 自分に固執して

藻掻いているから 無意味に爪立てて

 

あの日のこころを 本当の私をさがして

 

 

ある日散策に出かけた森の先

まだ朝露の残る草原くさはらがあった

私さえ踏んだことのないそんな

やわらかいところがあった