正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

2021-01-01から1年間の記事一覧

身を迫り出して飛び出すような心音

心臓の奥の小部屋の地の底で 赤い火にあてられる蝋や 腐った果実 いくつも垂れさがる雨の雫の そのうちのひとつが 眼下の水溜まりへと線を引く 重苦しく湿ったかたまりかく云う小部屋は痛覚を伴わず 蛍光灯のさばる商店街 錆の金庫 いつからか青く留まる カ…

僕の叫びたかったこと Ⅱ

僕の死ぬときに、泣いてくれる人が居てほしいと思う だれかが少しばかり僕を惜しんで 肯定された僕は、顔も知らないだれかに許される それを 僕はきっと知らないけれど それで 僕はきっと救われるから 死の予感を得て眠る夜がある 人に話すと笑われたけれど …

20211101

しろい太陽のあさの匂いは 橙色の星のはな 中腹を照らす夢 暮れの予感をもよおす 窓枠の内は色褪せた風景画 僕たちは それぞれに誰かを描いて 思い馳せる 凍えるような夜にさえ 胸に灯る紅い熱 愛をささやく心臓は とうに痺れ青い蜜 その病に効く薬などない…

20211011

ナイフを突き立てるのは 痛くて、それは怖くて 死ぬことに 少し似ている。 ナイフを突き立てたのは きっと 生きてる痛みと同様の それよりも ちいさな痛み。 持っていることが痛いなら みずから 手放すのは 時間の問題だった、 これがひとつの見解だった。 …

停滞展翅

停滞前線私の部屋に居座るまま 秒針は8を指そうとして進まぬまま それでも額の向こうは変わっていく 私は変化を求められていく 流れる前の宙の塵 蛹の中のアゲハチョウ 焼き上げる前のマドレーヌ そんな名前の天使たち その日は暗幕の夜 彼らはぬるい水の中…

20210921

月の虹彩 誰かを呼ぶ輪 雲は透け、魅惑 反射 しんとした濃紺世界 白い羽が 舞う 月は ほほえむ 冷めた頬 やわらげて いつでも 見守っている 忘れないで みえない頬が 似合わない雫で冷える 風に舞う 夢色の雲 幾重にも 空を造る 翳りのドレス 濃紺に冴える空…

青色の約束

土砂降りの中そっと交わした 青色の約束 君は知らない 僕だけの約束 何も知らない幸せ色の なずなのような声だけが聞こえている きっとどうなるか この賭けは無効 そっとどこかで ずっとどこかで 僕はもう 諦めている 本当は許されないんだ 僕は許されちゃい…

雨の降ったあとの草原みたいな

まるで道化みたいな 笑い声が存在証明だった こどもの話 ランドセルしょって 踏み出した世界 無慈悲で 残虐な世界 はじめての悪意はその後 後を絶たず どうやら少し醜いこども どうやら少し劣ったこども 多数決に乗れないこどもは ゴミ箱みたいに 悪意のはき…

泡沫の貴方

背中のやわいソファ 揺れはほぼ規則的に 揺れは私を機械的に 白けた窓の雨は枯れ 白いはなの群生が 白い列車をとり囲む 白く霞んだ向こう ここがどこかも いまがいつかも わからない もう何年も鳴らない電話 きっともう鳴らない電話 だけど貴方は残酷だから …

真っ白な紙を怖いと思ったのはいつからだろう ペンを取るのが怖いと思ったのは? またガレキの山を前にしたような 真っ白な夢をみるような 逃げるのは悪いことだと誰かが言って だけどその理由を誰かは語らないまま 口先の悪の理由を 大抵誰かは語れない 正…

僕といのち

みんな新しい命がすき そうあるように作られた命を そうあるように嗜んで まるで既存の命が見えないみたい まだ4年をいっぱい生きたぼくは 老いた順から側に置いた みぢかい命をたいせつにしたかった 消えそうなあかりの たいせつな灯りの 壊れそうでこわい…

蝸牛の殺意

「おまえは間違っている」 あの人がそう言って 私を非難して 「おまえは間違っていないのか」 という問いに 「私は一欠片たりとも 間違っていない」と 憎しみに呑まれた瞳で私は 天秤に尋ねてみる 「どちらが間違っているのでしようか」 天秤は 話も全て聞かぬうちに…

ソーダのあぶく

水槽の魚みたいに 世話をしないから 白い腹浮かべたのかい 海の魚みたいに 世話をしなくても その御身食われたのかい なんだか息がしづらくて その場でぐるっと見渡して なんだ、ここ海だったのかって なんだか息がしづらくて みんなの顔見比べて なんだ、 …

枕元のテディベアと透明な指先

鋭い風が呼び起こす 乾いた葉の舞踏 街なかの喧騒に顔上げたら 顔無しの群勢脇の下引き上げられ 軒の下宙ぶらり 窓に映る僕は 顔無しのパペット僕は言った 「君じゃ星になれない」 君はただ 西日の窓辺に腰掛けて 湿った風に透かされて 君は黙って、まだ 見え…

カノン

知るはずもない神話の時代 赤と青が交わって 無計画の上うまれた紫 私たちはカノンと呼んだ8月の林檎 潮風走るオレンジの青少年 煤色をした家鴨(あひる) 愛なんか宝箱に隠して 忘れてしまったこどもたち 神様は、どうして与えてしまったのか幾千万にも及ぶ星…

カラッポ 秋

「暗い」空気に包まれるのが心地よかった。 夜や早朝、雨の日なんかはもう、半袖でいるには肌寒さを感じる9月も、もう終わりそうな時期に来た台風。バラバラと音を立てる青色の屋根や、ブロンズ色の窓枠に囲まれたガラス窓が雨音の演奏を手伝っていた。 それ以…

おひるまをおよいで

道にくい込むタイヤの音が 遠くの方でわなないて 街に反響していきます。穏やかな心で聞きながら、また 気まぐれに揺れる 白いレースのカーテンは 地に曇りと晴れをつくって、 私はそれを眺めています。これがお昼間のワンセット 或いは、日曜日の映画や 或…

とも

薬を飲みませんでした。 だから私は死にました。薬を飲まなかった理由(わけ)は 簡単で複雑で、難解で単純です。 私は薬師を信用できず 服薬は痛みを伴いました。だから薬を捨てました。 そうして私は死にました。薬師が居なくなるのを待ち、 ぬっと起き上が…

山月記 初読の感想と続きを考えてみる。

高校生のとき授業の課題で書いたものです。 当時、いや今となっても、みんなはどんな続きを書いたんだろうと思います。そんな思いを持つ人に読んでもらえれば嬉しいです。【初読の感想】 現実と夢の間で苦しむ事象はいくらだってあるけれど、虎となって目を…

それ

それは友だった 物心のつく前から共にあった それは蝶だった 何よりも興味をそそられた それは遠足のおやつだった 新しい友を作る立役者になった それはコミュニケーションだった 友情を紡ぐ道具になった それは兄弟だった 一緒に泣いたり怒ったり そして、…

は る

聡明な群青色の内側に 街灯は冷えたソーダ水を植えつける。 明解な炭酸水の電光は 青白に温かなフリージアを教えた。すぐにわかった花のにおいというものを それは花粉症のクシャミでも 萌ゆる乙女の比喩でもなくて 生温い風のまとう人格と心情人を嘲笑う異…

「愛色のインクで、ことりをかきました。」

「愛色のインクで、僕はことりをかきました。」イレギュラーなコガネムシとの朝食は 喪われた夢の続きを 永遠に隠したといわれています。多くの麗らかな目をした少年の かようにも逃げることが不可能な場合 きっと いたみを伴う 悔いた熱情「結構、結構」小刻み…

20210414

紺(あお)いろの インデペンデンスと 上澄みの エンディング音階は 火曜日の放課後です。傷つけずに くるまれた 懸念の 木立はさしずめ 私情の スーツの裾に セルリアンブルーの ソーダ水は 立場のない 宙ぶらりんのいのちったたた ったたた テトテト 今 飛び…

そこの情けない顔が なにか言いたい顔をして 「あんまり情けない」 背けようとした私に そいつは睨んでいる、 怒っている、すると途端に恐ろしくなって ひとつと ひとつの 深淵は 途端に知らない人になる感情のない黒 他人は 愚かな私を責め立てて 星ひとつな…

20210412

右の貝の蓋は閉じているそのスクリーンはカーテンの向こう 雨路を鳴らすタイヤが滑る目眩みの眠気 いっそ覚めない夢をみれたら今日のふぬけも不可抗力に忘れる 無責任 望まぬ責任 得られぬ灯投げだされた裸 女の二つの目が怖い 詩というものを、初めて書いて…