正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

2022-01-01から1年間の記事一覧

むりょくなうた

賞味期限が切れたみたいだ 夕日色の水辺の公園が有限であるみたいに 無限の瞳に終わりがあるみたいに メレンゲに歯型がついて胃におさまるみたいに 覚めてはいけない夢があって 触れてはいけない夢があった それが理由であって それに理由はなかった 見えて…

20221031

下手だった心臓の音知れば知るほど 息苦しく窮屈な霧の山 手も足も鉛に取られ 喉を枯らす脳も無い いつしか標本の少年 オイル漬けのオレンジ きらきら光る無重力に舞う 時が来ればまた、ぼくも一緒に 鉛をつけたまま泳がねばならない 歩かねばならない、行方…

変わらないね

襲う襲う真暗闇に賊のように 這い回る線虫 僕の核を探す ちらちら輝る青い群像の侵略僕をひとりにしないでと静かに祈る夜がある 僕をひとりにしてくれと誰かに願う夜がある ひとつの呼吸で闇を撫でる夜があって 夜闇に溶け 蔵の光の冷気を恐れる夜がある 助…

翳雪 患者の憂鬱

まだ暑さの残る夏の夜に見た君の顔なんてもう忘れてしまった「夕暮の患者メランコリック」四月に入院なんてこれぞ四月馬鹿ってな運命 頻繁な面会の君の清純さが気に食わない 学び舎がどうだって? 味わえやしない幻想ばっか、笑えない聖夜に君が訪れたとき 蛍…

琴線の魚

ベッドの上で命がすくむ 黒の妖精を踊らせては散らせ 無いも同然のちいさな吐息を すこしでも生きていないように ころすかなしいくせちいさな指はまるで口のように 心をわからないみたいに彷徨う 目に見えないものを恐れ 心臓の音にさえ怯え 心を許した娯楽…

私のセピア

愚かなまでに素直だった 残酷でしかない本能のままの子であった 白百合が穏やかな春の風に揺られている 途方もなくまっさらな先であろう 驚くほど雄弁な白であろう だが歪な運命は既に浮かび上がっていたひとつ、 庇いたくなるだろう それでいて全てを与えて…

宝箱パニック

毎日毎日、細かいドミノを並べ 毎日毎日、指先を震わせ並べ 毎日毎日、冷汗を零し並べ 虚を貼りつけて、完璧じゃなくても 無は自然で、人は朽ちるきみは、その宝石を誰にみせますか むかしは誰にでもみせていましたけれど 何故やめてしまいましたかストロベ…

幽香 かすか

荒々しい砂の夜 無念を抱える夏の夜烟るフェルトの狭い空 燻る黄金こがねの丸い鏡きょう 橙オレンジのねこがひとりでに 白く霞む夜よにひかって居る 鳴かないねこ、君は… もし、詩人ではないですか 君の世界で、君は 詩を書いてやしませんかどこからともなく…

燃やした、 空を燃やした 灰が街一面に敷き詰められ 苔むした池の端を覗く 双眸は仄暗く立込め とぐろを巻いた それに身を震わす雷霆はいつも急だった 押寄せる雨雲はピクニックを台無しにする 立直れない鳥を世界は許さない その音は三度みたび、私に問う開…

青ぼくはいつもぱくぱくと、まるで金魚のように呼吸をしています。それは文字通りの、身体に酸素を取り込むためのただの呼吸というわけではなく、生きるためのあれこれを取り込んだり、それは全て同意があるわけでなくとも取り込まずにいることは許されない…

寝そこねたあたまのポワンポワ

ばかだからわかりやすい優しさじゃないとわからない。もしかしたら、たくさんの優しさを見逃して生きているのかもしれない。なんて、...... ちょっとわかるかも、怒った先を期待してないんだよね。 今人間の形留めるだけで精一杯というようなかんじ、色で遊…

巣喰う

底なし沼に嵌ったみたいな、地に足の着かない あなたとのそういう会話 ぶくぶく泡だけが口から吐でて 最後には、泥を呑んだみたいな罪悪感 耐えられなくなってきたよ応急処置の幸福感で延命治療 長期的にマイナスなのはわかってる 建設的逃避計画 思いだすの…

20220504

‪‪‪‪✕‬ぬこともできないからペンを執った。 今日の昼間には、好きな人たちと楽しく過ごした。 今日の深夜には、瞼と上唇を腫らして泣いた。 最近よく思い出すのは、目を引く場所に飾られる先×期待の作品を部屋の隅から人々の間から眺めたこと。私の血や涙を…

拝啓 生きようとするわたしへ

ない、確かにあったのに 確かにこの腕の中に この腕の中に、捕まえていたのに ひとつ、あの人が憎かった 薄い膜を針で刺した あの男が憎かったひとつ、あの人が憎かった 飛び散った赤い汁の その中にひとつあった核を踏みにじった あの男が憎かった 私は、し…

私開花宣言

この青暗いゼリーの中を サメやクジラ、そのほかの 小さな魚たちが ぽこぽこと泡をたてて進んでいく チューリップ柄のカーテンは 昔なじみの夕焼け色にとけて 自分がまっくろく翳る夜の匂いは、孤独の匂い 記憶が寄り添うやさしい孤独 毎晩ちょっぴりの勇気…

へ た

ためこむ質というよりか、ただ聞いてもらいたいと思える人を 思い浮かべられないだけでためこむ質というよりか、ただあとからじっくり見てみなきゃ 感情の名前がわからないだけでためこむ質というよりか、ただあとから見つけた感情を どんな顔でほざけばいい…

目が覚めたら、ケーキが食べたいな

熱い湯に浸かるのと 熱い湯を浴びるのとでは 違って 浴びるのは 雨の日に冷えた体を 雪の日に冷えた体を シンからゾクゾクと 温めなおすのを感じる 寒い日に用を足すのに似た ゾクゾクを感じる それとともに 私を抱く湯に 安心している波に浮遊する点は ユラ…

牛乳からチーズを作るためのホエーみたいなところ

美容師になりたかった 髪を結うのがすきだったから ファッションデザイナーになりたかった 服をかくのがすきだったから 画家になりたかった 絵を描くのがすきだったから絵に関係する職に就きたかった 絵がすきだったから こころに余裕のある人になりたかった…

Am.4:13

いつしか、あまい やさしい柔軟剤の香りは 私のなかで妹を指すようになった まるで、くじらの中みたいな まあるい夜空を見上げて ぷか、ぷか、と それを食ったり捨てたりしながら 横断歩道の黒い部分に 出た手足が 冷たいそれに浸かっている 料理をしてみる…

春の夜の魔力

空にぽっかりぽっくりまあるい月が ひとのせいかつのシャンプーのにおい ぽかんとかかぽんとかいう桶のおと シャワーの水が肉体や床に砕け散る うざったらしくない青い夜の花のにおい それらを眠そうにみていた。はる、殺人事件の夜に 誰かが消える はる、呼…

だからーーが嫌いだ(鏡の中の冬)

重苦しい曇りの夜の犯罪者 寒空のクリスマスに佇むのか ショーウィンドウに映るのは 重苦しい曇りの夜の犯罪者睫毛を震わせ冬の夜の音をきく 誰かが泣いてる 頬に触れる雪が私の熱で溶ける 誰かが泣いてる 雪を溶かすのは大罪だと誰かが言った。パチと粘膜の…

白い小さな花をみた

春の希み遠く花が 芽吹く黄色に立ち退きて 恐るる犬も 庭にさざめく青葉 匂い立つ昼の日の欠片のマゼンタ 透かす血脈は揺れる雪の細胞 オミナエシはなお見ないし ゆり籠が振り落とす聖母の愛 似通る憤りのニシンによって 蘇生の抜糸は笑われる 早急な上下運…

あれは冬だった。

あれは冬だった。白にふらふらと落ちていく雪は、 風にもてあそばれ 飛び上がるようなつめたい風は何も関係ない ボクを吹きつけた。 返事をしないコンクリートブロックはまるで 凍っているように見えもするけれど かれらはそう無機質に生まれただけだ。 ボク…

冬に眠る、その音

しんしんと夜の暗がりが降り積もる 魔法びんの底で脚を投げ出す私に その一等星は顔を覗かせ光を届ける 途方もない光年の先から凪いだ水平の向こう土埃の連弾 このカラクリのぜんまいを巻く 布を飲み込んでいくミシン 機嫌の悪い馬、今日の窓口乾いたいくつ…