荒々しい砂の夜
無念を抱える夏の夜
烟るフェルトの狭い空 燻る黄金の丸い鏡
橙のねこがひとりでに 白く霞む夜にひかって居る
鳴かないねこ、君は…
もし、詩人ではないですか
君の世界で、君は 詩を書いてやしませんか
どこからともなく「おわあ」と聞こえることもなく
あいも変わらず、頭の中でもその詩人は鳴きませんが
浴槽横のシャワーが泣く女のように
ススキのようにしなだれて
人は1人じゃ生きてけないというけれど
私の人生に出てくる人は皆、退場してしまう
燃えかすになって、飛んでいってしまう
その誰もが、手を差し伸べることのないまま
無いものばかり数えてしまう
人が死ぬのは理だと知っておきながら
先の短い人のことを考えるし
もう居ない人のことを、思い出すのです。