正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

私開花宣言

この青暗いゼリーの中を
サメやクジラ、そのほかの
小さな魚たちが
ぽこぽこと泡をたてて進んでいく
チューリップ柄のカーテンは
昔なじみの夕焼け色にとけて
自分がまっくろく翳る

夜の匂いは、孤独の匂い
記憶が寄り添うやさしい孤独
毎晩ちょっぴりの勇気と
寂しさと弱さと、、、
全て持って生まれてきた
今欲する全てを

夜の匂いは、夕焼けは
とおいとおい記憶を
優しさを、思い出せない愛しさたちを
そっとかぐわせる
むかし手にした愛しさたち
もう、離別した愛しさたち

ひとは人の中でいきる
私というひとを
最初に生かすのは、母
すこしずつ、少しずつ...

私と母の中の私は違っていった
「私」は野菜のへたみたいに
無用の長物みたいに
「私」は、いま
誰の中で生きているのだろう

私の結晶を誰も見ていなかった
私の血を、涙を、
そんなもの、なかったみたいに
おとしもの、踏みつけるみたい
...
そしてひとは、それでもひとは
何も知らない、知ろうとしない人々は
粉々にして、ビンに閉じ込めた
窒息死

そしてひとは、それでもひとは
何も知らない、知ろうとしない人々は
全てを私の問題にして

そしてひとは、それでもひとは
何も知らない、知ろうとしない人々は
私を切りつける
いくら切っても切りつける

何も知らない、知ろうとしない人々は
いつまでも続けるだろう

だから私は
私をなくさないために
隠したはずの私を
すこしずつ、少しずつ
解放しなければならない