正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

宝箱パニック

毎日毎日、細かいドミノを並べ
毎日毎日、指先を震わせ並べ
毎日毎日、冷汗を零し並べ
虚を貼りつけて、完璧じゃなくても
無は自然で、人は朽ちる

きみは、その宝石を誰にみせますか
むかしは誰にでもみせていましたけれど
何故やめてしまいましたか

ストロベリィのチョコレェトを選ぶように
指先は空を舞う
選ばれたチョコレェトはある日
ドミノを倒してしまう
お面が割れてしまった、宝石をみられてしまった!

臆病宝石は素っ頓狂になって暴れ
ドミノを踏みつけ
希望も期待も信頼も一緒くたに

助けなんて思いもつかない程
蹂躙の果ての冷えきった心臓は
酷く自分を罰したがった
辛いものが食べたくなるみたいに
甘いものがほしくなるみたいに
水が飲みたくなるみたいに
柔い肌に冷たく鋭い切先を

どうしたいのか
どうするのがいいのか
それは誰にとっていいのか
よくわからなくなっていた

幽香 かすか

荒々しい砂の夜
無念を抱える夏の夜

烟るフェルトの狭い空 燻る黄金こがねの丸いきょう
オレンジのねこがひとりでに 白く霞むにひかって居る
鳴かないねこ、君は…
もし、詩人ではないですか
君の世界で、君は 詩を書いてやしませんか

どこからともなく「おわあ」と聞こえることもなく
あいも変わらず、頭の中でもその詩人は鳴きませんが
浴槽横のシャワーが泣く女のように
ススキのようにしなだれて

人は1人じゃ生きてけないというけれど
私の人生に出てくる人は皆、退場してしまう
燃えかすになって、飛んでいってしまう
その誰もが、手を差し伸べることのないまま
無いものばかり数えてしまう
人が死ぬのはことわりだと知っておきながら
先の短い人のことを考えるし
もう居ない人のことを、思い出すのです。

燃やした、
空を燃やした 灰が街一面に敷き詰められ
苔むした池の端を覗く 双眸は仄暗く立込め
とぐろを巻いた それに身を震わす

雷霆はいつも急だった
押寄せる雨雲はピクニックを台無しにする
立直れない鳥を世界は許さない
その音は三度みたび、私に問う

開け放した夜 魂の声をきく
時も輝きも本質も 何も誰も許さない
問いの答えは、もうずっと知っていた
敷き詰められたその下でずっと
ずっと息を潜めていた

ぼくはいつもぱくぱくと、まるで金魚のように呼吸をしています。それは文字通りの、身体に酸素を取り込むためのただの呼吸というわけではなく、生きるためのあれこれを取り込んだり、それは全て同意があるわけでなくとも取り込まずにいることは許されない、ぼくのみえる、また、居る世界の状況がありますが、それと生きるためのあれこれを澄ました顔で吐き出したり、それは全て何の不自由なく吐き出せるわけではなく、吐き出すことは許されない、ぼくのみえる、また、居る世界の状況がありますが、まあ、そういうことを指しているのであります。ですのでぼくは常時のこと、まるで金魚のようにぱくぱくと、それは人間ですので、みっともなくそして無様な姿で、これを世界には知られまいと、澄ました顔で、ただし熟した果実のようなものを隠し持って生きているのでありました。

ぼくの澄ました顔が生きているうちの何年かであまりにも精巧なものになってしまい、人はぼくの不要な器用さのみを知ることになったので、そこから生まれる煙草の灯のような理不尽を心臓の上の皮膚で揉み消して、それでもぼくは澄ました顔でいなければなりませんでした。例えばその澄ました顔を崩して、熟れた果実を取り出して見せてみた人もいましたが、ぼくはこの当てつけのようなキャッチボールが果たして正解なのか、よく分かりませんでした。澄ました顔をしていれば上手くいく水面のような世界の住人たちに、突如としてぼくの大切な熟した果実を差し出すには、それは凶暴なまでに純粋な、世界にとっての異質であって、夜闇に寝静まる水槽の電気を音沙汰も無く点灯したときの慌てふためく魚たちのようなその様を見ていると、ぼくが我儘を言っているような、まるで悪い気持ちになりました。

世界は防腐剤を施すこともなく、ぼくが上手になった澄まし顔でケロッと笑ってみせると、それは無かったことになりました。
こうしてやはりぱくぱくと下手な呼吸を繰り返し繰り返し、不器用に器用に、ぼくはそうやって生きていました。けれどそれはぼくの人生の中ではまだマシだったようで、例えば特殊な環境で得た少しばかり大きな理不尽は簡単に果実に爪を立てることができて、特殊な環境の中必要以上に出たアドレナリンによって果実が膿んでいることにすら気づけなかったとすれば、そのときは簡単に病気にかかるでしょう。ジャムになった果実をみて、水槽の魚になるのは今度はぼくの番なんでしょうね。


ある気まぐれに、足は住んでいるところの辺りを少し歩くことに決めました。少しばかりでも、それは本当は大いにぼくに必要なことでありました。雨の降り出しそうな夏の夕暮れの、視界が青く色づいていたことが心が乗った理由だといえましょう。まるで水族館の水槽を前にしているような光景に日常感はなく、朝の早い冬の空気の色のような夏の夕暮れの光景でありました。

いつなんどきも、例えば救急車に搬送されたときでさえ世界を認識するために確かに意識を持っていました。ぼく自身の心を探るため、納得できるまで眠れないことがあるのは僕の悪癖でありますが、ぼくはそれくらいぼくのみえる、また、居る世界を把握することに固執している節がありました。しかしぼくは最近、その認識の不確実さについて考えることがあります。

というのも、例えばぼくの心を夜を削って探るときには気がつくと数時間ばかしが用いられていて、それで解るいくつかのぼくの気持ちはコンディションによってはその後全く参考にならない。もっと現実的なことであげるのなら、確かに記入したぼく自身の返ってきた解答用紙をもって、これは本当にぼくのものなのかと疑ったり、一年ぶりの夏を迎えて広げた服の、妙に縫い合わせてあるところだけを虫が食っているのをみて、昨年ぼくが乱暴に扱った可能性について及んでみたり、もっと簡単な話でいえば消したはずの電気がついていたり、そういうことをもってぼくの思っている以上に、ぼくも他人(ひと)も、ひいては世界というのは、そういったふわふわした意識で成り立っているのではないかと思うと、考え続けることを、理解しようとすることを、生きる上で何よりも重要視してきたぼくにとって、ぼく自身も今踏みしめている地面さえもぐにゃりとして掴めないもののような、意識に伴わず不規則に浮遊しているような心地になって、ぼくとは何だろうかとゾッとすることがあります。

現実味のない青く涼しい夏の夕暮れの、雨の降り出しそうな大きな曇り空の下に吹きつける、不愉快でないばかりの湿気を含んだ風が僕の心臓を掴んでふわふわと揺らして、脳みその頂点からポロポロと不確実な現実を引きずり出して、揺れる視界を、ゾッとするような現実をぼくのことを、揺れる足元を、__________、、




だけどぼくは、その水族館のような冬の朝のような色をした涼しい夏の夕暮れの風の、大気のなかで
そっとひとつ、楽な呼吸をいたしました。
全ての人が敵に見えるけれど、それも不確実なのだと思うと
そっともうひとつ、楽に呼吸をいたしました。



家に入る最後に見たのは、この世界を燃やすみたいに、夕日が空を燃やしている光景でありました。


ぼく自身は可変であります。ぼくは機械ではないので、ぼくの記憶に確実性は保証できません。ぼくのみえる、また、居る世界は、ぼくの推測の範囲を出ない他人(ひと)から成り、それの実体をぼくはやはり推測の範囲でしか知ることはできないでしょう。
それでもぼくは、考え続けようとすることを、理解しようとすることを、少しでもぼくがぼくをすきでいられるために、やめることはできないのです。そして、ぼくの知っているぼくを、こうでもないああでもないと書き換え続けてきた推測を、ぼくだけが知っているこれらを、過程をもってして労ることができるのもまた、ぼくだけなのです。
しかしながら、推測は推測であることも大いに感じておくべきです。そうすることで、呼吸が楽になる瞬間があったことを、忘れないで。

寝そこねたあたまのポワンポワ

ばかだから

わかりやすい優しさじゃないとわからない。

もしかしたら、

たくさんの優しさを見逃して生きているのかもしれない。

なんて、

......


ちょっとわかるかも、

怒った先を期待してないんだよね。


今人間の形留めるだけで精一杯というようなかんじ、

色で遊ぶ余裕が無いよ。


じんわりと

もう

あの医者とも

あのカウンセラーとも

話したくないな

と思っている。たぶん、

もう来週は病院へは行かない。



悲しいことばっかりだ、いきるって

巣喰う

底なし沼に嵌ったみたいな、地に足の着かない
あなたとのそういう会話
ぶくぶく泡だけが口から
最後には、泥を呑んだみたいな罪悪感
耐えられなくなってきたよ

応急処置の幸福感で延命治療
長期的にマイナスなのはわかってる
建設的逃避計画
思いだすのは 妹の泣き腫らした顔
誰ひとり泣かなかった葬式でも泣いてた君の
真っ赤な目元や ひりつく泣き声
折れそうな白い腕を黒い服に垂直にして

助けてくれるわけじゃない
解ってくれるわけじゃない
だけど君を泣かせたくないと思うよ

それは、たくさんの人生のとっておきの羅列
泣きたくなるほど眩しい
映画みたいだ
それは、自責
それは、リストカット
それは、耳を切り落とすこと
なのに、私にしっくりときたのは
そういった 一寸先の闇

間接照明の暖かい色を抱く天井を眺めて
カフェラテをのむような
夜の声をきく
ゆっくりと流れるときを
それだと言えたら、よかったのかな

20220504

‪‪‪‪✕‬ぬこともできないからペンを執った。
今日の昼間には、好きな人たちと楽しく過ごした。
今日の深夜には、瞼と上唇を腫らして泣いた。
最近よく思い出すのは、目を引く場所に飾られる先×期待の作品を部屋の隅から人々の間から眺めたこと。私の血や涙を知っている先×が、私に背を向けていた、あの永遠しゅんかんだ。

私には、素晴らしい容貌は無い。気づいたときには、虐げられるべき容貌を持っていた。
私には、素晴らしい人柄は無い。私の世界の、人々に虐げられてからは他人によくしたいと思えなくなった。
私には、素晴らしい友人は無い。友人には、私よりも相応しい友人がいた。
私には、素晴らしい恋人は無い。先の通り、そんなものいるわけが無いのだ。
私の人×には、価値が無い。私の作品人×がただのガラクタだと判明した。先×の背中がそう言っていた。
私の人×には、意味が無い。楽しく過ごせる、好きな人たち、でさえ頼ることができず顔を泣きはらしている。

もう、やめたい。
×きることをやめたい。
何も無い、頑張って×きてきて何も持っていない。
空虚な人×の痕跡を見るためだけに存在していたくない。もう、何も見たくない。
見たくないのに、×き頑張らなきゃいけない。
弱虫だから、‪‪✕‬にきれない。
愚かだから、‪‪✕‬にきれない。
がむしゃらに×きてきたのに、ふと手のひらを見たとき何も掴めてやしなかった。
もう、×きたくないよ。

愛する人たちが私を=した。
頼った人たちが私を=した。
私が私を=した。





ああ、明日妹は遠くに帰るのに、泣かせてしまうのかなと思った。私は妹を泣かせたくなかった。私は泣くしかなかった。私は泣くことしかできなかった。