正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

ひとりごと

溺夏

あついスープの中、溺れるちいさい猫のなき声みたいな 呼吸沈む神様の様相でいて溺れていた溺愛と 初めに云った人の感性がすき不気味な風 不気味な風 不気味な風がいつも霧に満ちた森の暗い淵に立たせるちいさな足音でくるくる回る回し車が胸の中『溺夏』202…

今日のぼそぼそ

寒くておなかがすいて寂しい昼間の朝の僕は最悪な気持ちだ いくつかわかったことがあって、寒さとおかしな睡眠は僕を不安定にするついでに空腹までそろうと、泣きだしそうになるわかっているから最悪の最悪になる 言い訳できない年頃の悪行根っからのクズの…

九月の夜は

たとえば、加法混色した光のテープをそこかしこに貼り付け、それもこちらにまで配り散らし、目も当てられないほど強靭な白は空の青を脅かして、その侵食は地上にまでも及ぶ。全体と比べれば、大して面積を占めてもいないような白はしかし、着実に今、光と熱…

青ぼくはいつもぱくぱくと、まるで金魚のように呼吸をしています。それは文字通りの、身体に酸素を取り込むためのただの呼吸というわけではなく、生きるためのあれこれを取り込んだり、それは全て同意があるわけでなくとも取り込まずにいることは許されない…

白い小さな花をみた

春の希み遠く花が 芽吹く黄色に立ち退きて 恐るる犬も 庭にさざめく青葉 匂い立つ昼の日の欠片のマゼンタ 透かす血脈は揺れる雪の細胞 オミナエシはなお見ないし ゆり籠が振り落とす聖母の愛 似通る憤りのニシンによって 蘇生の抜糸は笑われる 早急な上下運…

あれは冬だった。

あれは冬だった。白にふらふらと落ちていく雪は、 風にもてあそばれ 飛び上がるようなつめたい風は何も関係ない ボクを吹きつけた。 返事をしないコンクリートブロックはまるで 凍っているように見えもするけれど かれらはそう無機質に生まれただけだ。 ボク…

身を迫り出して飛び出すような心音

心臓の奥の小部屋の地の底で 赤い火にあてられる蝋や 腐った果実 いくつも垂れさがる雨の雫の そのうちのひとつが 眼下の水溜まりへと線を引く 重苦しく湿ったかたまりかく云う小部屋は痛覚を伴わず 蛍光灯のさばる商店街 錆の金庫 いつからか青く留まる カ…

カラッポ 秋

「暗い」空気に包まれるのが心地よかった。 夜や早朝、雨の日なんかはもう、半袖でいるには肌寒さを感じる9月も、もう終わりそうな時期に来た台風。バラバラと音を立てる青色の屋根や、ブロンズ色の窓枠に囲まれたガラス窓が雨音の演奏を手伝っていた。 それ以…