正しいなんてあやふやを信仰する愚か

ひとりで生きるための懺悔。大人になる虚しさ。

それ

それは友だった
物心のつく前から共にあった
それは蝶だった
何よりも興味をそそられた
それは遠足のおやつだった
新しい友を作る立役者になった
それはコミュニケーションだった
友情を紡ぐ道具になった
それは兄弟だった
一緒に泣いたり怒ったり
そして、それは友だった

それは世界だった
現実逃避の逃避行の先の
それは勇気だった
踏み出すための楽しいの根源の
それは外套だった
残酷から守ってくれる母のような
それは先生だった
私に私のことを教えた
それは学問だった
知りたくて知りたくて、私は学ぶことにした

それはねこだった
何も言わずに寄り添った
それは喜びだった
人のためにやれることだった

それは風邪だった
症状の程度が自分ではわからなかった
それは誇りだった
私自身だったから
それは呪いだった
褒められないことだけが事実だった
それは汚点だった
私自身だったから
それは重荷だった
初めての不幸の上に重くのしかかった

それは苦痛だった
強いられたものだった
それは呪いだった
いつまでも自信を奪った
それは夢だった
今はもう一緒に生きる自信をなくした
それは虚しさだった
力なく笑うことしかできないようだった
それは義務だった
終わらせるために向き合うしかなかった

それは私の世界だった
私をどこまでも表した
それは束の間の再会だった
目を見張ると私の身体は縛られていた
それは呪いだった
もう自由にはなれないようにみえた
それは執着だった
私自身だったから

それは私だった
私にはそれしかなかったから
それは現実だった
誰にも理解されない
期待されない認められない
事実だけがあったから
それは私だった
誰にも理解されない
期待されない認められない
それが事実だったから